紅葉の談山神社と奈良公園散策

                              渡 一正

十一月の中旬、頭書のバス旅行に参加した。気になる天気は、予報によると弱い冬型の気圧配置で、平野部は晴れるが、山間部では雲が広がる、とあって一安心。

バスは 2 台で、東郷町を 8 時 30 分に出発。豊明を通り豊明 IC より伊勢湾岸自動車道を経て東名阪に入る。点々と青空に浮いている雲が山野に影を落としている。鈴鹿山脈が見えてくると、山の背で大きな雲が停滞している。関町から国道 25 号に入る。加太トンネルを抜けると伊賀の街である。右手に上野城が見えてくる。

          

 国道を暫く走って名張川を渡り、 11 時過ぎに都祁(つげ)村の針テラスに到着する。ここで一時休憩して、 11 時半ごろ出発する。   

 田舎道を通り、長谷寺の街を通過して、ジグザグの山道を登り、談山神社の駐車場に 12 時過ぎに到着。車が一杯で参拝客が多い。境内の麓から本殿まで百三十段の石段がある。段数を数えながら一気に登る。登りきると、左手に黄色や赤の紅葉を背にした美しい反りの十三重の塔が目に止まる。右手に目をやると丹塗りの鮮やかな本殿がある。桜門を通って舞台作りの拝殿の間でお参りをする。廊下から眺める紅葉は鮮やかで素晴らしい。部屋には歴史的な展示品が並べられていたが、中でも鹿皮の蹴鞠に目に止まった。年間の祭事の一つとして、けまり祭が行われるという。

 境内から更に山道を登ると高さ 609 メートルの御破裂山(変事のある前に山が鳴動し、本殿の鎌足像に亀裂が入ってそのことを知らせたと、右文書に伝えられている。)に藤原鎌足の墓所がある。毎年、紅葉の時期になると沢山の参拝客の賑わいと鮮やかな紅葉に鎌足公は目覚めることであろう。

           

   (註)明治の神仏分離令でお寺が無くなり、お寺の関係の建物は十三重の塔だけが残っている。

 談山の名前の由来は、鎌足公と中大兄皇子が蘇我の入鹿を討ち取る相談した山(本殿の裏に談 ( カタラ ) い山がある)からとったとされている。      

 自由散策が終わって、 13 時半にバスは山を下って、奈良に向かった。 14 時過ぎに南大門の側にある駐車場に到着。ここでも観光客が多い。南大門を出発点として自由行動となる。南大門は東大寺の正面にあり鎌倉時代に再建されたという。門は見上げるほど高い。門に入ると両側の薄暗い空間に、気迫のこもった大きな金剛力士の古い木像に目を奪われた。門をくぐって、観光コースの東大寺、二月堂、三月堂を過ぎて手向山八幡宮の前を通り過ぎると、高さ 382 メートルの若草山のなだらかな広いスロープが目にはいる。山腹のススキの穂波が美しい。公園内の散歩道には角を切られた放し飼いの鹿が餌を求めて近づいてくる。

 

           

 奈良公園内に土産店の多いのには驚いた。土産物を一品買ってバスに戻り、 17 時頃奈良公園を後にして帰路についた。

 今日の旅行は、短時間の旅行であったが、好天気に恵まれ、昔の思いを馳せながら、自然の美しさにも触れ、目一杯楽しむことができた。

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   談山神社のHP

 

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